2024年に迎える夏土用はいつ始まり、いつ終わるのでしょうか?
また、この期間に含まれる「土用の丑の日」とはどのような関係があり、なぜこの時期にうなぎを食べるのが一般的なのでしょうか?こうした習慣の背景にある由来を詳しく見ていきます。
夏土用の中でも、「土用の丑の日」は特に注目されます。
しかし、なぜこの日にうなぎを食べるのか、その具体的な理由ははっきりしていません。
また、夏土用という期間が持つ深い意味や起源について、よくわからないという人も多いかもしれません。
そこで、ここでは夏土用にスポットを当てて、その詳細を解説します。
夏土用とは何?
土用は、春、夏、秋、冬の各季節に設けられる特別な時期のひとつで、それぞれ春土用、秋土用、冬土用と呼ばれます。
年間で4回ある土用の期間の中でも、特に夏土用は「土用の丑の日」にうなぎを食べる風習のおかげで、より一般的に知られています。 (「土用の丑の日」については後で詳しく触れます。)
夏土用は、『陰陽五行説』に基づく「土旺用事」とも呼ばれ、この世界が木、火、土、金、水の五つの元素で成り立っているとする考えに由来します。四季もこの元素に対応しており、春は木、夏は火、秋は金、冬は水とされています。
ただ、四季と五行ですから、五行の土元素が余ってしまうことになります。
そこで、余った土元素を四季の季節の変わり目に配することで、これを土用としました。
ですから土用は年に4回の期間訪れることになります。
特に夏土用は、夏から秋への季節が変わる前の時期を示します。
2024年の夏土用期間はいつ?
2024年の夏土用は、7月19日から8月6日までとされています。
この期間の丑の日が土用の丑の日とされます。
※2024年の「土用の丑の日」は7月24日と8月5日です。
土用の期間は、立春、立夏、立秋、立冬の直前の18~19日間を基準に定められ、夏土用の場合は立秋の前になります。
7月中旬から8月上旬は、一般に夏のピークであり、暑い時期ですが、二十四節気は旧暦を基に季節を区切るため、現在の季節感とは異なることがあります。
また、二十四節気が中国の黄河流域で発生したため、日本の気候や自然とは完全には一致しない部分があります。これが、季節を分ける際の日本独自の解釈や調整の原因となっています。
夏土用の伝統的な慣わしと活動
夏土用は、梅雨が終わり真夏の暑さが訪れる時期です。
梅雨中、閉め切っていた窓を開けると、室内は湿気で充満し、衣服や本にカビが生えることが心配されます。このため、昔から「土用の虫干し」と呼ばれる、衣類を日陰で干す風習がありました。
今日では、洋服の多くが通気性を重視した作りになっていますが、それでもカビや虫の防止のために、定期的にクローゼットの扉を開けて空気を入れ替えたり、特別な機会用の衣類を陰干しすることが推奨されています。
また、夏土用は、梅雨時に準備した梅干しを干すのに最良のタイミングとされています。
夏土用と「土用の丑の日」の関連
夏土用を考えるとき、「土用の丑の日」が自然に思い浮かびます。しかし、土用は夏だけでなく、春、秋、冬にも存在します。
丑の日は、現代でいう特定の日付のことを指しますが、過去には日付のほか、月や時間、方向も十二支で示していました。
これにより、「土用の丑の日」は、土用期間中の丑の日を示し、特に夏には暑さが増し体調管理が重要になります。そのため、「夏土用の丑の日」には、熱中症予防や疲労回復のために薬草風呂に入るなどの健康対策が取られていたのです。
「土用の丑の日」に鰻を食べる背景
夏土用の丑の日に鰻を食べる習慣は、夏バテ予防や体力回復を目的としています。
しかし実は、鰻の旬は夏ではなく、涼しい秋から冬にかけてです。そのため、当時、例年夏には鰻の需要が減少していました。
この状況を変えるために、ある鰻屋が平賀源内に助言を求め、「本日は土用の丑の日」という告知を店前に出すことを提案されました。この方法で、鰻の売り上げは大幅に伸びました。
古くから土用の丑の日には「う」の字がつく食品を食べると良いとされていたため、鰻がその習慣にぴったり合いました。このユニークなマーケティング戦略によって、「土用の丑の日には鰻を食べる」という慣習が確立され、現在に至るまで続いています。
土用期間に控えるべきこと
土用の際には、土を司る土公神が活動期に入るため、土を掘ったりいじったりする行動は避けるべきだとされています。
年間を通じて四度訪れる土用の各期間において、この掟は変わりません。実際、新築住宅の基礎工事など、土に大きな影響を及ぼす作業を避ける建築関連業者も存在します。
趣味のガーデニングや農業作業など、個人レベルでの土触り活動も、この期間は避けたほうが無難です。
季節が変わる土用の時期は、体を休め、穏やかな時間を過ごすことが奨励されています。
住まいの変更、人生の大きな転機となるようなイベントも、土用中は避けた方が良いとされています。
「土用殺」とその影響
「土用殺」とは、土用期間中に特定の方向へ旅行することを控えるべきとされている考え方です。
特に夏土用の場合、南西方向が「土用殺」に当たります。これは、夏土用の期間における7月の干支が「未」であり、この「未」が指し示す方角が南西であるためです。したがって、夏土用中の南西への外出は避けるべきとされています。
一般的に、土用は積極的な活動を控え、静かに過ごす期間と考えられています。しかし、夏土用が夏休み期間と重なるため、家族での旅行計画が立てられることもあります。
その際は、不運を避けるために、不吉な方向ではなく、吉とされる方向へ向かうことが推奨されます。
ただし、この指南は土用の期間中に旅行を積極的に奨励するものではありません。土用は基本的に静かに過ごすべき時期であり、吉方向へ旅行することが特別に運気を向上させるわけではないという点を強調します。
万が一、土用の間に旅行を計画する場合は、より安全とされる方向を選んで、不吉な影響を避けることが重要です。
年間を通した土用の概観
今まで夏土用にスポットライトを当ててきましたが、実は春、秋、冬にも土用は訪れます。
それぞれの土用の時期や習わし、注意すべき方角についての情報を求める声が多いため、ここでは一年を通じての土用とその特色についてご案内します。
春土用
春土用は2024年の春土用は4月16日から5月4日までと定められています。
この時期、「い」がつくものや白色の食べ物を好んで食べると良いとされており、2024年には4月16日と4月28日がそのような日に当たります。
春土用の際は南東を避ける方角として注意が促されます。
夏土用
夏土用 2024年の夏土用期間は7月19日から8月6日にかけてです。
この期間中、「う」のつくものや黒色の食品を摂取することが推奨され、2024年では7月24日と8月5日がその目安になります。
夏土用では、南西が避けるべき方角とされています。
秋土用
秋土用 2024年秋土用は10月20日から11月6日まで続きます。
この季節には、「た」がつくものや青色の食べ物が好まれ、2024年の秋土用では10月31日が特にその日です。
秋土用の期間中、北西方向が避けた方が良い方角と言われています。
冬土用
冬土用 2024年冬土用は1月18日から2月3日までです。
冬においては、「ひ」がつく食品や赤い色の食べ物を選ぶと良いとされ、2024年では1月20日と2月1日がそれに該当します。
この時期、北東が避けるべき方角とされています。
夏土用のまとめ
夏土用の丑の日に鰻を食する風習はよく知られていますが、その根拠や背景は意外と知られていません。
夏を含めて土用は年四回あり、それぞれ季節ごとに特定の食べ物や避けるべき方角があります。
土用は季節の節目であり、この期間は身体と心を整え、静かに過ごすべき時と考えられています。